ノリギャラリー  
 
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広田 稔 展
−Dance Lesson−

2008年7月1日(火)〜8日(火) 会期中無休
11:30〜18:00

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広田 稔

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動きの「瞬間」の美学
                瀧 悌三 (美術評論家)

5月末、Y画廊の広田稔展で女性人体クロッキーのパステル画60枚を見た直後、このバレー舞踊情景のパステル画9点を見た。同じパステル画でも、この方はタブロー(油彩本画)的な完成度の高さがある。それだけに実に興味深く鑑賞享受出来た。
広田君のクロッキーは、モデル相手の1ポーズ20分の仕事だ。当然粗描きとなる。それでも構図等の描きたい肝腎なところはきちんと正確に押さえ、粗漏無いことを期する。よって瞬間の判断が勝負であり、訓練を要し、非常に難しく、難しいから画家には限りなく魅力の作業である。広田君はこれを9年も続けている。
だが、これら9点はパステル画としてそれぞれ数時間を費やし、一箇のフィニイ(完了)となっている。同じ縦長の短冊型構図ながら皆が個々独立の作品に仕上がっているのだ。
一作ごとに衣装が違い、光(色)が違い、姿、形が違う。側面、背面、正面があり、手足は、開く、伸ばす、下げる、上げる、と様々に分かれる。共通するのは動作のさなかということ。即ち主題はムーヴマン(動勢)であり、画面は瞬間の切り取り場面なのである。
動作を静止のうちに表す試みだ。これは単なるカメラの機械性単眼では追い付かない。人の直覚に基づく複眼的判断の眼(心眼とでも呼ぶしかない)のみが、これを良く果たす。広田君のこの舞踊連作は、そういう動きの美を見抜く瞬間の美学が根底にあっての仕事だ。私が限りなく面白がって眺めた所以である。
それにパステルの効果のせいで、画面はまことにリアルである。踊り手の息遣い、体温、発汗等の見えない箇所まで見えるみたいだ。そのリアリズムが、私の感興を特に刺激した。
また近年の広田君はデッサンに熱中し、競走馬やバレリーナに入れ込むなど、百二十五年前のドガに非常に似ている。でもドガとの影響関係は無い。偶然に歴史が繰り返されているのみ。この点も私には興味一入深い。